2012年9月1日土曜日

運営委員長より、お礼の挨拶 第62回全道造形教育研究大会 帯広・十勝大会を終えて


第62回全道造形教育研究大会 帯広・十勝大会を終えて

                          第62回全道造形教育研究体会

                          帯広・十勝大会

                          運営委員長 辻 敦郎

                          帯広市立帯広第五中学校

 

「会場に版画を並べて、たとえば“版画の小径”。そこに机をおいて、ワールドカフェにしたら?・・・。 」  「美術館、会場にできないかな・・・・。」

「カフェ形式は話しやすくなるしね、・・・。色々な思いや、造形教育の・・・。実践や、語り合ったり・・。きっとそれが大事で・・。」「美術館の石畳、昔フロッタージュ・・。」

「十勝は版画教育の歴史があるので・・。実践の蓄積もあるし・・。」

「ねね、まず、会場決めないと・・。机の関係で小学校?・・。五中でもいい・・五中」

三年前から徐々に、準備委員会のメンバーを募って、

小さな準備委員会でメンバーが額を寄せ合って、プランを話している。準備委会はやがて月日を経て、運営委員会になり、瞬く間に2年が過ぎました。

運営委員会の偉さは、最初の会合の荒々しく、みずみずしい、アイディアをいつまでも、あきらめず、新鮮なまま、はつらつと、若々しく、斬新に、・・。やり遂げたことです。

「十年前は美術科出身の校長先生達はそうそうたるメンバーいたじゃないですか・・・。

今は辻先生・・・・。しか・・。いないので」

辻先生しかの「しか」が森にいる角の生えた茶色い動物でないのは重々承知で、「仕方ないので・・。」という語感をなんとなく感じながらも、私自身運営委員長の重責を楽しめたのは、今回この研究会を企画運営した運営委員達の熱意や仕事ぶりによります。この研究会を創る側に参加できたことを光栄に感じ、皆さんに心より感謝します。

■造形教育が学校で孤立しないこと

「世間」から造形教育が何か理解しがたい特別なことだと思われたり、生まれつきの才能で優劣がつく教科と誤解されることを一番に恐れてきました。

芸術を扱うのでどうしても、誤解される危険を意識しなければなりません。

ここで言う「世間」とは、たとえば、今、美術室で絵を描いている中学生が将来大人なって、「美術」を他の教科とは違う特殊な、特別な人たちの限られた活動であると思ってしまったり、たとえば、教師自身も、学校の中で造形教育が他教科から、指導法や評価の仕方、定期テストの有無を含めて、理解しがたい、近寄りがたい、独特の学力観や、作品をつくるためだけの無計画な教科で、そのことに議論の余地のない教科であったり、または図工・美術の教師が美術準備室をアトリエ代わり引きこもり、コミットするべき相手を間違っていたり・・・。「世間」がそんな風に造形教育を認知すると、造形教育はリアリティーのない実感できるところのない、無用なものになってしまいます。世間」は家庭であり、地域であり、社会全体であり、私たち教師の目的そのもの、つまり児童・生徒でもあります。

そこで、私たちは大会テーマを「つくるとき・つながるとき」としました。同じ時間を共有する仲間と、社会と、未来と「つながる」それを実感する造形教育を探ろうとしました。また、研究主題を「豊かな心をはぐくむ造形教育」としました。10年前と同じテーマをあえて選びました。「心」からはじまる教育として捉えたかったのです。

私たちは与えられた実在の中に住んでいます。それがはたして真の実在かと疑問に思ったときに「造形活動」はどこからかやってきます。小さな生まれたての子どもであっても、成熟した大人であっても知的な精神作用が激しく働きます。「そんな研究会ができたらいいな。」と考えました。

■「なぜ今、美術教育か」

 全道全国各地より参会いただいた皆さま、関係各位、授業の公開や提言、助言を快く引き受けていただいた各幼稚園、小・中学校、高等学校、大学の教職員の皆様、児童生徒、学生、保護者の皆様に心より感謝申し上げます。また、この研究大会に当初から深い理解をいただき、特段のご配慮をいただいた道立帯広美術館には重ねて深く感謝いたします。

幸いなことに、自分の学校をメイン会場にすることができました。この大会の成果を語るときに本校職員の活躍ぬきにはかたれません。

関連事業として行ったワークショップ、岡部昌生フロッタージュ・プロジェクト「O-perperke-p 2012 森ニイマス」は驚くべき経験でした。

私たちは今日も「森ニイマス」この森は混沌とした「問いの形」です。

「なぜ、いま」という問いの形が貫かれた大会は、それぞれの参加者に重く、深いく現在に向き合うことを促しました。

62回全道造形教育大会帯広・十勝大会は平成24年7月27日に開催されました。それはそれは暑い夏の日でした。この日が皆さまの心にいつまでも残るものであることを願いながら、重ねて心より皆さまに深く感謝いたします。


 

2012年7月28日土曜日

全道造形教育研究大会 帯広・十勝大会


7月27日(金)

帯広市立第5中学校と帯広美術館を会場に、「第62回全道造形教育研究大会 帯広・十勝大会」が行われました。


5つの分科会で6つの授業、9つの提言について話し合い、図工美術の魅力や、この学習でなければ培うことのできない子どもたちの資質能力、そして評価についてなどたくさんのことが話し合われました。また、ワールドカフェ形式による討議やシンポジウムなどとても内容の詰まった一日になりました。
全道各地から300名を超える参会者があつまり、とても盛会な大会となりました。

2012年6月24日日曜日

2次案内・大会参加申込書

2次案内、大会参加申込書をUPします。



ダウンロードして、お使いください。
たくさんの、ご参加をお待ちしています。

2次案内はこちらから(PDF 7.9MB)
2次案内(低画質)‥ (PDF 1.0MB )

申込書はこちらから (PDF 536KB)


宿泊するしないにかかわらず、7月10日(火)です。
よろしくお願いします。

2012年6月22日金曜日

申込締切『延期』

二次案内の発送がぎりぎりになってしまい申し訳ありません。
申し込み締切を延長したいと思います。
宿泊するしないにかかわらず、7月10日(火)とします。
どしどし申し込んでください!!!

2012年6月12日火曜日

各分科会 授業者提言者 題材・提言概要

授業・提言とも進行形の内容もあります。変更等ありましたら、随時アップしていきます。
時々、チェックしてしてみてください。

第1分科会 「心をうつす」 版画合同分科会

授業者 音更町立下士幌小学校 池田圭子教諭 児童 第6学年8名
題材名 版を生かして「酪農」(版画)~地域の生活を版で表そう~
自分の手で触れて,感じて,目で見て,耳で聞き,鼻で臭いを嗅ぐ。そして全身・五感で感じたことを絵にイメージ。さらに版画を通じ,伝えたいことをどのように構想し,白と黒のバランスをいかに効果的に表すなどの見通しを大切にし,自分の思いに合った版画の技法を用いて,自分のイメージに近づかせる。子どもなりの表現を生み出す版画。自分を表現する1つの方法。自分の郷土に対する気持ち(心)や郷土とのつながりを版画を通して写しだしてほしい。8人の8通りの方法・考え方をご覧ください。

提言者 函館市立深掘中学校 佐々木壮一教諭
提言名 「志功から思考」
青森県の生んだ世界的版画家“棟方志功”は、自ら「板画」と称した木版画の制作に情熱を燃やしました。志功の生涯・作品は、とても情熱的かつ魅力的であり、生徒へ版画制作の楽しさや関心・意欲を高めるものと考えました。
今回は、版画制作を苦手としている生徒にも、版画の楽しさを知ってもらい、大胆に制作を進めるにはどうしたらよいのかという視点から、教材開発した授業を提言として取り上げたいと考えています。

提言者 浦河町立堺町小学校 沼田しずか教諭


第2分科会 「わたしをつくる」 小学校分科会

授業者 帯広市立北栄小学校 金子 里奈教諭 児童第3学年30名
題材名 『わたしの木をつくろう~1本の木からみんなの森へ~』
4月から新しいクラスとなり、素直で元気な3年生30名と共に慌ただしくも楽しい学校生活を送っています。今回は、そんな子どもたちと『わたしの木』をテーマにした工作に挑戦したいと思います。これまでの図工では、「私だったらこんな風にしたいな…」という自分を表現することにこだわって制作を進めてきました。また、様々な材料と出会うことで図工の楽しさと可能性を広げてきたと思います。子どもたちが自分らしいどんな木を想像して、材料とどんな対話をするのか、今から楽しみです。

提言者 帯広市立森の里小学校 木下桂子教諭
提言名「振り返ろう。自分の足あとを」
「こんな絵を描いていたんだぁ」というのが、作品集を開いた子ども達からよく聞こえてきた感想でした。
1年間で、自分が作り上げてきた作品にはその時々の思いが込められていて、「楽しかった・上手く出来た・ちょっと不満・・・」等の、作り上げた時のことも思い出せるようでした。
自分の作品を「捨てていい」と思って欲しくはなくて始めた作品集。渡しっぱなしだった作品集のその後を考える機会を与えていただき、子ども達から借りてきました。ぜひ手にとってご覧ください。

提言者 滝川市立東小学校 舘山唯郎教諭


第3分科会 「私をつくる」 中学校分科会

授業者 札内東中学校 神下朋実教諭 生徒 第2学年 33名
題材名 私をつくるもの~心 映して ランプシェードの制作
「私の心の中の風景」をテーマに小さなあかりの表現に取り組みます。白地の紙に「自分の心の中の風景を」描き、ランプシェードに仕上げていきます。小さなあかりたちが集う姿は、クラスのみんなの心が集まる様子です。あたたかく、優しい空間を表現していきます。

提言者 当別町立当別中学校  佐藤 哲
提言名 「僕の・私の太陽」 (卒業制作) ~想いを込めた作品づくりのために
自分自身の心の奥底にある想いを「太陽」の姿に変えて表現しようという授業です。一人一人の「想い」を引き出すために、そして「想い」の込められた作品づくりができるために、実際の制作前にいかに子どもたちの心を振るわせ、感性を刺激するかということにポイントを置きました。時数等様々な好条件に恵まれて実践が可能となった授業でしたが、いつかまたという想いの強い授業でもあります。子どもたちの心の奥に触れ、想いを引き出す方法について、皆様からご教示いただけると幸いです。

提言者 旭川市立東陽中学校 中村靖教諭 
提言名 自画像
私をつくる「自画像」は顔の輪郭線がキュビズム表現であってもよし,フォービズム的であっても写実的な表現であっても良い。制作を通し、様々な表現方法に生徒が気づけばよい。自画像の指導はまず鑑賞にはじまる。表現で個々の生徒の持ち味を生かし,多様な作品を評価する時に力量がとわれる。顔を描くとき輪郭を描き,目鼻立ちを描いていくことは難しい。鼻から描いていく。鼻から口までの距離は?→眼までの距離は?→鼻の長さに対して、顔の長さは?指導方法の試行錯誤は今日も続く。


第4分科会 「みんなでつくる」 幼稚園・小学校分科会

授業者 学校法人みどり学園 帯広第二ひまわり幼稚園 鈴木みなみ教諭 児童 年長組
題材名 みんなでつくろう ~葉っぱのお皿づくり~
子ども達と関わる中で一番大切にしている事は、子どもを肯定的に育てていく事です。子ども達は様々な経験をする事でたくさんのアイディアが生まれ、大人には想像の出来ないものを作り出す力があります。日常の保育ももちろんですが、製作を行う際は特に子ども達の発想を大切にしています。「これはダメ」ではなく「こうするときれいだね」「この形素敵だね」などと肯定的な言葉を使う事で次への意欲に繋がっていきます。子ども達が出来あがった作品を見てキラキラと目を輝かせる姿を見て私も嬉しく思います。

授業者 広陽小学校 岩村美希教諭 児童 第6学年 34名
題材名 紙のフラワーロード~特別なONLY ONE~
「いっしょにつくる」「いっしょにかざる」「いっしょにみる・語る」よろこびを体験できる造形活動を紹介します。日常的になじみのある「紙」を素材に、心の優しさ、豊かさ、よろこびを表現する「花」をみんなでつくります。つくる中で、紙の性質を学んだり、みんなと教えあったり、助けあったりしながらクラスが一つになる「フラワーロード」をつくっていきます。

提言者 札幌市立白楊小学校 菊池惟史教諭


第5分科会 「未来へつなぐ」 中学校・高等学校分科会
授業者 帯広第一中学校 村中鉄也教諭 生徒 第2学年 36名
題材名 美術館で「みる」授業 ~棟方志功展~
ちょっと足を伸ばした所に美術館があります。でも授業で行くとなると教師側も道のりが遠く感じてしまうこともあると思います。いつだって子どもたちに美術館は必要。そこから膨らむ感性や、そこで学ばせたい授業者の思いといろいろありますが、難しいこと(大切なことですが)を考えて、二の足踏むより、まずはシンプルに「みる」ことから始めたい。本物の作品を目の前にした生徒の表情や心の動き、つぶやきに、教師が寄り添う形の授業になればと思います。※現在2年生は授業で木版画に取組んでいます。

提言者 池田町立池田中学校 西島俊貴教諭

提言者 鹿追町立鹿追中学校 下倉直江教諭
提言名 地域の「美術力」をいかした授業づくり
学校だけでの「美術」よりも地域を巻き込んだ、また地域と協力し生徒の可能性を広げていけるというのは、素晴らしいチャンスだと思います。鹿追町はそんな素敵なチャンスがある町でした。
地域とつながることは、「生きる力」を育てます。また、そこでしか、そのときしか経験できないこともあります。
恵まれた環境の中で、地域の「美術力」に支えられた授業の実践を、わずかですが、今回紹介させて頂きます。

2012年6月11日月曜日

二次案内(最終案内)のお知らせ

二次案内(最終案内)のお知らせです。本日入稿しました。原稿が出来るといよいよという感じがしてきます。右クリックで開けば何とか文字が見られるものの、やはりブログ上では見にくいかもしれません。お手元に届くまでもう少しお待ちください。

A3の紙面に、分科会コンセプト、授業者からのコメント等、かなりの情報を盛り込みました。提言内容に関しては、このブログでの紹介(次回)となります。公開授業、提言内とも、内容は進行形です。二次案内と実際の授業が若干変更になる場合もあるかと思います。常に最新の情報でアップしたいと思いますので、このブログでときどきチェックしてみてください。

岡部昌生先生のワークショップ②

体育祭で枯れた声は3日で戻ったのですが、ちょっと残念な気持ちもするのはなぜでしょう?
さて、6月9日(土)、プレ研を兼ねて「岡部昌生氏のワークショップ」を帯広美術館のある緑ヶ丘公園で行いました。作家の「創造的に生きることにつなげてほしい」という思いを受け、帯広市内中学校の美術部約50名が木肌のフロッタージュを行いました。フロッタージュをするにあたって「自分が動いた分だけ線が出る、色がつく」という作家の言葉は、生き方にもつながる芯の通った言葉でした。大会前日にもう一度ワークショップを行います。作家と同じ場に立ってフロッタージュを体験できるまたとない機会です。ぜひ参加してみてください。(簡単かと思いきや意外と思い通りになりません。やらないと分からないものです。そして、作家と過ごす時間は濃密でとても心に残ります。)

岡部昌生 フロッタージュ プロジェクト
O-perperke-p
2012
森二イマス。

~ みんなで十勝に触れるワークショップ ~

日 時  7月26日(木)9時開始 ※大会前日です。
場 所  帯広美術館
二次案内同封の申込用紙で申し込んでください。

お問合せ
帯広市立西陵中学校(事務局長 根岸邦昌)
☎ (0155)33-3007   fax (0155)33-9249
E-mail  :  seiryou@f1.octv.ne.jp